たいせつな絵本『図書館に児童室ができた日』

14:57 A+ a-


#図書館に児童室ができた日
図書館において、児童室はなくてはならない存在だ。それは、子どもこそが、自由に借りられる本を必要とする人たちだから。大人は本屋で立ち読みしても怒られない。でも、幼い子どもは?大人はネットで本を注文できる。でも、幼い子どもは?自由に棚から本を選び、好きなだけ読める幸せを、幼い子どもたちに存分に味あわせてあげられる空間は、図書館の児童室しかない。家庭でそれができれば幸いだろうけど、そうはいかない家庭も多々あるだろう。だから、子どもに開け放たれた図書館は必要なのだ。
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この絵本は、児童図書館サービスの先駆者となった、アン・キャロル・ムーアの生涯を紹介している。自分の考えをしっかり持った女の子が、大人になって、NYの新しい大きな図書館に、素晴らしい児童室を作ったのだ。その業績を知り、感謝の想いが込みあげた。
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そして、日本の先駆者たちにも心からの感謝の気持ちを。かつら文庫を開いた石井桃子さんをはじめ、日本の図書館に子どもの居場所を作ってくださった方々、いまなお心を尽くして子どもに本を届けてくださっている方々、ありがとうございます。自由に棚から本を選び、好きなだけ読める幸せ。その幸福を存分に味わえる空間。本の森、本の海。陽射しのなかに座り、古い紙の香りを吸い込む。物語に潜り、旅をする。その空間を、わたしは子どもの頃から愛していた。
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『図書館の児童室はいま、陽光と活気と美しさにあふれ、常識に律された場所になっている。それはアン・キャロル・ムーアの尽力によるところが多い。彼女は、窓を開け放ち、こういったのだ。「ちょっとばかり風通しがよくなったからって、なんの害もないはずよ」』(ヘンドリック・ヴァン・ルースとグレース・カスタグネッタ著『クリスマス・キャロル』前書きより)
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#ジャンピンボロー 文 #デビーアトウェル 絵#張替恵子 訳#たいせつな絵本 #大人の絵本 #子育て #絵本 #picturebook #book #図書館

たいせつな絵本『ながいながい旅』

13:41 A+ a-


【たいせつな絵本 No.8】
#ながいながい旅
この絵本は、わたしの絵本。でも娘が読みたがったので、どうしても原文のまま読みたい箇所以外は、短めにアレンジして一緒に読んでいる。声に出して読むと、もう涙止まらず。つられて泣いてしまう娘とふたりで、鼻をすすりながら読む。
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平和の尊さ、命の尊さを、リンドグレーンの挿絵画家としても有名なイロン・ヴィークランドが、美しくも切実に描く。幼い頃に戦争から逃れ、スウェーデンで自らの人生を切り拓いてきた彼女の、自伝的な絵本。いつも彼女のそばに居てくれたのは、大切な大切な、一匹の犬だった。
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見返しの幸福そうな二人を見るたび、この喜びを奪う権利は誰にもないと、つよくつよく、思うのに。子どもが子どもらしく生きられる世の中でありますようにと、願わずにはいられない。
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#ローセラーゲルクランツ 作 #イロンヴィークランド 絵 #石井登志子 訳 #岩波書店 #たいせつな絵本 #3才 #子育て #絵本 #picturebook #book

たいせつな絵本『ぼくのブック・ウーマン』

11:25 A+ a-


字を読めないカルは、本の虫の妹ラークを理解できない。本を読めるからなんだっていうんだ!と、そう思っていた。大きな鞄に本を詰めて山を越えてやってきた、あのブックウーマンに出会うまでは。
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かつて、学校に通えない子どものいる山岳地帯の家々に、馬に乗って本を配って回る図書館員がいた。彼女たちの勇気ある仕事をヒントにして生まれた物語。
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娘はなぜかこの絵本が気に入っている。本の楽しさに目覚める過程が好きなのかな。わたしは、娘にとってのブック・ウーマンになりたいなと思いながら、まだ見ぬ物語との出会いに、自分もワクワクしている。悲しいこと、やるせないこともたくさんある。でも、物語のあるこの世界は、なんて素晴らしいんだろう。そしていつも絶妙なタイミングでわたしと本を出会わせてくれた母にも、感謝を込めて。
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この絵本は、二人の著者にとってのブック・ウーマンに捧げられている。
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#ヘザーヘンソン 作 #デイビッドスモール 絵 #藤原宏之 訳 #さえら書房 #たいせつな絵本 #3才 #子育て #絵本 #picturebook #book

たいせつな絵本『おいていかないで』

11:19 A+ a-


【たいせつな絵本 No.6】
#おいていかないで
兄弟姉妹のいる人なら、おもわず うんうんと頷いて、それでいてほっこりちゃう絵本。
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おにいちゃんと一緒に遊びにいきたくて、「おいていかないで」とお願いする あやこちゃん。でも、おにいちゃんは、ひとりで遊びにいきたいみたい・・・。兄妹の、ほほえましいやりとりが繰り広げられて、背表紙、表紙まで楽しめる絵本。やっぱり、筒井さんと林さんのコンビ、大好き。
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娘は、あやこちゃんの読んでる絵本が『おだんごぱん』だということに気がついて、とっても喜んでいた。林明子さんは、物語が続いていく喜びを子どもにくれる。また会えたね、こんにちは、という感覚。その感覚は、たぶん子どもにとって絵本をとても身近な友だちにしてくれる。
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